事業会社のデザイン組織において必要な人材とその役割を整理したフレームワーク。デザイン組織は「対プロダクト・サービス」と「対組織・インフラ」の2軸で機能を考える必要がある。 ## デザイン組織の2つの軸 ### 対プロダクト・サービス(Value Creation) ユーザー体験向上・事業価値創造に直接貢献する機能 ### 対組織・インフラ(Organization & Infrastructure) デザイン組織の生産性向上・品質担保・知見蓄積を支える基盤機能 ## デザイン組織に必要な役割・人材 ### 【対プロダクト・サービス】価値創造機能 #### 1. デザインリーダーシップ層 **デザイン責任者(Head of Design)** - プロダクト戦略とデザイン戦略の連携 - 他職種・経営陣との価値創造ディスカッション **プロダクトリードデザイナー** - プロダクト横断での体験設計統括 - プロダクトマネージャーとの戦略レベル連携 #### 2. プロダクト・機能別スペシャリスト **UX/UIデザイナー(プロダクト別)** - 各プロダクトの体験設計・改善 - 要件定義から実装まで一貫した設計 - A/Bテスト・効果測定への参画 **インタラクションデザイナー** - マイクロインタラクションによる体験向上 - プロトタイピングによる価値検証 ### 【対組織・インフラ】基盤構築機能 #### 3. デザインインフラ・システム **デザインシステム担当** - コンポーネントライブラリの構築・運用 - デザイントークン・ガイドライン管理 - 開発チームとの効率化連携 - デザイン品質の標準化・自動化 **デザインオペレーション担当** - デザインプロセスの標準化・効率化 - ツール導入・運用・最適化 - ワークフロー設計・改善 #### 4. ナレッジ・リサーチインフラ **UXリサーチャー** - ユーザーインタビュー・調査の企画・実施 - リサーチ結果の蓄積・共有知化 - ペルソナ・ユーザージャーニーの管理・更新 - リサーチ手法の標準化・教育 **デザインナレッジマネージャー** - デザイン判断・事例の蓄積・共有 - ベストプラクティスの言語化・標準化 - 新人教育・オンボーディング設計 #### 5. 組織開発・育成 **デザイン人材開発担当** - デザイナーのスキルアセスメント・育成計画 - キャリアパス設計・評価制度構築 - 外部研修・勉強会の企画・運営 - 採用・オンボーディング設計 **デザイン文化推進担当** - デザインレビュープロセス構築 - 他部署へのデザイン思考教育 - デザイン成果の社内発信・PR #### 6. 横断的スペシャリスト **ブランドデザイナー** - ビジュアルアイデンティティの策定・管理 - ブランドガイドライン・資産管理 - マーケティング資材の制作・監修 ## よくある問題:対組織インフラの不足 多くのデザイン組織は**対プロダクト機能に偏重**しており、**対組織インフラが不足**している。これが以下の問題を引き起こす: - デザイン判断・ノウハウが属人化し引き継がれない - 同じような問題を毎回ゼロから検討している - ユーザー理解が共有されず個人の経験頼み - プロセスが非効率で工数が無駄になっている - 新人の立ち上がりが遅く、教育が場当たり的 - デザインの品質が人によってバラつく ## 採用優先度の考え方 ### 最優先(インフラ不足の解決) 1. **UXリサーチャー**(ユーザー理解の共有知化・標準化を主目的に) 2. **デザインオペレーション担当**(プロセス標準化・効率化) ### 高優先度(並行して進める) 3. **デザインシステム専任担当** 4. **デザインナレッジマネージャー** ### 中優先度(インフラ整備後) 5. インタラクションデザイナー 6. プロダクト専門デザイナーの育成・増員 ## スキルマッピングの観点 デザイナーのスキルを評価する際の観点: | 観点 | 対プロダクト | 対組織 | |------|-------------|--------| | **スキル領域** | UX、UI、ブランド | オペレーション、インフラ(デザインシステム等) | | **評価基準** | ◎高い・○中程度・△基礎レベル・×未経験 | 同左 | ## 関連ノート - [[デザインシステム]] - [[UXリサーチ]] - [[デザイン組織]]