# Summary HIGH OUTPUT MANAGEMENT は、インテルの元CEO、アンドリュー・グローブによるマネジメントの古典的名著です。特に、急速に変化するハイテク産業におけるマネジメントの原則と実践的な手法を解説しています。 グローブは、マネージャーの役割を「アウトプットの最大化」と定義し、そのための具体的な方法論を提示しています。生産性向上のための重要な概念として、「リミッティング・ステップ」の特定、インディケーターによる客観的な測定、先行指標と傾向指標の活用、可変式検査、テコ作用の高い活動への集中などを挙げています。 時間管理においては、時間という有限資源の効率的な活用を重視し、権限委譲、タスクのバッチ処理、定例化、スケジュール管理の重要性を説いています。また、ミーティングについても、目的の明確化、準備の徹底、適切な参加者の選定など、生産性を高めるための実践的なアドバイスを提供しています。 さらに、組織構造についても言及し、使命中心型組織と機能別組織の長所と短所を比較分析した上で、ハイブリッド型組織の有効性を提唱しています。モチベーションについては、能力と達成意欲に着目し、目標設定や評価システムの設計を通じて、組織全体の業績向上を図る方法を解説しています。 最後に、マネージャーの役割をコーチに例え、チームの成功を第一に考え、メンバーに高い目標を設定し、厳しく指導することで、最高の成果を引き出す重要性を強調しています。 ## Metadata * Author: [アンドリュー・S・グローブ、小林 薫](https://www.amazon.comundefined) * ASIN: B01MU055XH * Reference: https://www.amazon.com/dp/B01MU055XH * [Kindle link](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH) ## Highlights こうした会社の中のすべてのマネジャーは、新しい環境に自らを適応させていかなければならない。このような新環境におけるルールとは何か。第一にそれは、すべてがより急速に起きるということである。第二は、なしうることはすべてなされうるということであり、たとえ自分がやらなくても、必ず誰かよその人間がやってしまうということである。 — location: [370](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=370) ^ref-46501 --- したがって、こうした職場でのマネジャーであるみなさんは、「 無秩序 に対する、より高度の受容力と許容性」を身につけなければならない。 — location: [374](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=374) ^ref-45899 --- 不可能と思われることを行ない、予測不能とされることも予期するよう努力しなければならない。そして、予期しなかったことが発生したら、それが自分の人生との中でつくり出される無秩序からもなんとか秩序がつくれるように、その努力を倍加させなければならない。これに関して筆者が唱えているモットーは、「 混沌 をして君臨せしめよ、されど混沌の中で手綱をさばけ」である。 — location: [384](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=384) ^ref-47827 --- ここでカギとなる大切な考え方は、最も長い(あるいは最も困難な、最も要注意の、または最も費用のかかる)ステップから生産の流れを組み立てて、逆に考えてゆくという点である。 — location: [564](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=564) ^ref-64778 --- この業務をうまく運営するには、良い〝インディケーター(指標)〟、つまり状況を〝測定するもの〟が必要になる。 — location: [733](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=733) ^ref-60313 --- インディケーターはそれが 監視 しているものに人の目を向けさせる傾向がある。 — location: [760](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=760) ^ref-14475 --- こういったインディケーターにはたくさんの使い方がある。まず第一に、個人あるいはグループの目標が何であるかをはっきり説明してくれる。第二に、事務管理機能の測定をするときの客観性の度合がはっきりする。第三に、異なる組織で同じ機能を遂行する様々な管理グループを相互に比較する尺度がわかる点も、他の用途と同じく大事である。 — location: [788](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=788) ^ref-53589 --- 〝先行指標〟は、ブラックボックスの内部をのぞくひとつの方法で、将来はどんなふうになりそうかを事前に示してくれる。 — location: [815](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=815) ^ref-4823 --- 〝傾向 インディケーター〟も大切である。このインディケーターはアウトプット(客に渡した朝食、完成したソフトウェア・モジュール、処理済み伝票など)を時間ごとに測定(今月の実績対過去数カ月の実績)したものを示すもの、あるいは、ある標準または期待水準に対して測定したものを示すものである。 — location: [843](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=843) ^ref-40686 --- 次章で経営管理者のアウトプットについて調べるが、マネジャーが自分の管轄内のある特定の活動を深く掘り下げるときは、 可変式 検査の原則を応用していることがよくわかるはずである。 — location: [1009](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=1009) ^ref-61194 --- マネジャーは多くのボールを同時に空中に上げておき、自分の部門のアウトプットを最高に上げると思われる活動に自分のエネルギーと注意を注がなければならない。 — location: [1142](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=1142) ^ref-56880 --- だが、レポートにはもうひとつまったく別の機能がある。レポートが公式化されて記録されるときに、それを書く人は口頭でいうときよりも、厳密にならざるをえない。レポートの作成者はその説明の中で、トラブル個所を確認し処理せざるをえない。つまり、そういう規律と思考を自らに課さざるをえないところから、レポートの価値が生じてくるのである。レポートは情報を伝える方法というよりは、〝自己規律訓練〟の〝手段〟なのである。レポートを〝書くこと〟は重要だが、読むことは重要でないことが多い。 — location: [1160](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=1160) ^ref-48983 --- マネジャーの仕事のほとんどは、労働力、金、資本、といった経営資源の配分と関係がある。だが、マネジャーが毎日毎日配分する唯一無二の重要な資源は、本人の時間である。 — location: [1243](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=1243) ^ref-38684 --- マネジャーの生産性、つまり、稼働単位時間あたりのアウトプットは次の3つの方法で増加できる。 1   マネジャーが自らの活動を遂行する速度を速めて、仕事をスピードアップする。 2   いろいろな経営管理活動に関連のあるテコ作用を増加する。 3   マネジャーの活動のミックスを、テコ作用の低いミックスから、より高いミックスに換える。 — location: [1269](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=1269) ^ref-20922 --- テコ作用を高める活動  これを達成するには基本的な方法が3つある。 ■大勢の人がひとりのマネジャーにより影響を受ける場合。 ■ある人の長期間にわたる活動が、特定のマネジャーの、短いが的を射たことばや — location: [1275](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=1275) ^ref-29885 --- 行動によって影響される場合。 ■ユニークで貴重なカギとなる知識や情報を提供する個人によって、大きなグループの仕事が影響される場合。 — location: [1277](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=1277) ^ref-21596 --- マネジャーも、自分にとっては〝わずかな〟時間しかかからないが、他の人の業務遂行には〝長い〟期間にわたって影響するような活動を展開することによって、高いテコ作用を発揮することができる。 — location: [1311](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=1311) ^ref-8544 --- 〝マネジャーの余計な干渉〟もネガティブなテコ作用の一例である。 — location: [1331](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=1331) ^ref-5847 --- テコ作用の高い三番目のマネジャーの活動は、〝ユニークな技術と知識〟を持つ人々が取る行動である。 — location: [1340](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=1340) ^ref-1480 --- マネジメントの〝 技術〟というのは、一見比較してみて同じくらいの重要度を持つ多くの活動から、テコ作用の優れたものをひとつ、2つ、あるいはせいぜい3つほど選び出して、それに集中する能力にある。 — location: [1352](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=1352) ^ref-26968 --- 答える前に最後までトコトン、フォローしない権限委譲は〝職務放棄〟だという原則をよく考えておいてほしい。 — location: [1375](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=1375) ^ref-31630 --- 委譲の諸結果をモニターするのは、品質保証で行なうモニタリングに似ている。 — location: [1387](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=1387) ^ref-23285 --- これらの時間管理への提案に、われわれがいうところの生産の原則が加わればさらに改善されるものと思われる。第一に、〝リミッティング・ステップ〟、つまりわれわれの作業で「卵」にあたるものは何かを確認しなければならない。 — location: [1414](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=1414) ^ref-41477 --- 管理の仕事に応用できる第二の生産上の原則は、類似したタスクの〝バッチ処理(まとめてやること)〟である。 — location: [1423](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=1423) ^ref-11066 --- 資料を見たり、レポートを書いたり、同僚と話し合うのに、どのくらいの時間が必要なのだろうか。正確にはわからないかもしれないが、およその見当はつくはずだ。だから、自分の仕事のスケジュールを組む場合にもそのような勘を養わなければならない。 — location: [1454](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=1454) ^ref-57463 --- 時間は人間にとって有限の資源なのであり、あることに対し「イエス」と言ったら、必然的に他のことには「ノー」と言っていることを忘れてはならない。 — location: [1464](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=1464) ^ref-6350 --- 経営管理の仕事に適用できる次の重要な生産原則は、〝定例化〟に向かって努力するということである。 — location: [1508](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=1508) ^ref-6480 --- 半導体デバイスの研究一本だったので、その製造技術についてもよく知らなかった。そこで2人の仲間が──いずれも部下 — location: [1601](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=1601) ^ref-8384 --- ワン・オン・ワンの大切な点は、これが〝部下の〟ミーティングであり、その議題や調子も部下が決めるべき筋合いのものと考えることである。これにはそれ相応のまっとうな理由がある。ミーティングに対しては誰かが準備しなければならない。8人の部下を持つ上役がやるとすれば8回やらなければならないが、部下がやるならばたったの1回ですむ。したがって、アウトラインの作成は部下にさせるべきである。そうすれば嫌でも応でも部下は、取り上げてもらおうと思うすべての問題点や要点を事前によく考えることになる。このことはきわめて大切な点である。 — location: [1631](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=1631) ^ref-4915 --- 重点はトラブルの存在を知らせてくれるインディケーターに置くべきである。前回のミーティング以後に起こった重要事項はなんでも取り上げなければならない。 — location: [1641](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=1641) ^ref-50029 --- ピーター・ドラッカーは時間の 25 パーセント以上を会議で過ごすようなら、それは組織不全の兆候だと言っている。私ならこう言いたい──組織不全の真の兆候は、人が 25 パーセント以上の時間を、臨時に開かれる使命中心ミーティングで過ごすときに現われる、 — location: [1862](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=1862) ^ref-58119 --- 意思決定する)権限は責任(管理階層の中の職位)を伴う。しかし、情報やノウハウの取扱いを主体とするビジネスでは、マネジャーは新しい現象に取り組まなければならない。つまり、ビジネスの基礎を構成する知識ベースに急激な変化が起こってきたがために、地位に基づくパワーと、知識に基づくパワーとの間に急速な食い違いが起こってきたのである。 — location: [1875](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=1875) ^ref-28618 --- もし事業が存続し繁栄していくことが、〝何を知るか〟に依存しているなら、企業はどんな意思決定のメカニズムを使うべきなのであろうか。ここでの成功のカギは、ふたたび、ミドル・マネジャーなのである。命令系統の接合点であるばかりではなく、2つの型のパワーを持っている者が円滑に協力できるように目を配るべきなのである。 — location: [1890](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=1890) ^ref-50605 --- しかし、ミドル・マネジャーにとっての意思決定のモデルは、頭で知的には容易に受け入れられても、その実行となるとよりむずかしい。それはなぜなのか。ミドルの場合、しばしば自分の意見を力強く表現することに抵抗を感じるからである。 — location: [1930](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=1930) ^ref-2142 --- 計画するときに解答しなければならない問いがあることを思い出そう。それは〝明日〟の問題を解決するために〝今日〟何をなすべきかについてである。 — location: [2245](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=2245) ^ref-61641 --- 実際はおおむね両方が混じっているのだが、組織は、2つの典型的な形態に分けられる。完全な〝使命中心〟の形態と〝機能別〟編成形態である。「 — location: [2422](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=2422) ^ref-46407 --- アルフレッド・スローンは、数十年間のゼネラルモーターズ社での経験を、こう語っている。「 経営管理 の成否は、集権化と分権化との調和にかかっている」と。つまり、即応性とテコ作用の最善の組合わせを求めてバランスを取る行為がカギだともいえる。 — location: [2437](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=2437) ^ref-8168 --- さらに、その長所として、テクノロジー開発部門の研究技術者のような、ノウハウ・マネジャーの専門的知識や技術を、会社の隅々にわたって使用でき、それらの知識と仕事に強いテコ作用を与えてくれる点がある。 — location: [2461](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=2461) ^ref-641 --- ここで、「グローブの法則」を提示したい──「 共通の事業目的を持つすべての大組織は、最後にはハイブリッド組織形態に落ち着くことになる」 — location: [2499](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=2499) ^ref-25676 --- 同様に、われわれの職場環境での行動も、3つの、目に見えないが誰もが知っている方法でコントロールされうる。その3つの方法とは、次のようなものである。 ■自由市場原理の力 ■契約上の義務 — location: [2751](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=2751) ^ref-55300 --- ■文化的価値 — location: [2753](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=2753) ^ref-59007 --- マネジャーの最も重要な 仕事 は、部下から最高の業績を引き出すことである。したがって高いアウトプットの妨げとなるものが2つあるとすれば、マネジャーとしての問題の取組み方は2つあることになる──それは〝訓練〟と〝 動機づけ〟である。 — location: [2905](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=2905) ^ref-60869 --- マネジャーはどうやって部下にやる気を起こさせるか。一般的に、このことばには、何かを他人にさせるというような含みがある。だが、私にはそういうことができるとは思えない。モチベーションなるものは人間の内部から発するものだからである。したがって、マネジャーにできることは、もともと動機づけのある人が活躍できる環境をつくることだけと — location: [2910](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=2910) ^ref-51830 --- 人を駆り立ててベストを尽くさせる内面的な力は2つある。〝能力〟に突き動かされるか、〝 達成意欲〟に駆られるかである。 — location: [3005](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=3005) ^ref-33626 --- 伸びようとする欲求が自発的に現われないときには、マネジメントがそれを助成するような環境をつくる必要がある。たとえば、目標管理(MBO)システムにおいては、目標を相当高いところに設定しておき、個人(あるいは組織)がたとえ一生懸命努力したとしても、それをなし遂げる可能性は五分五分というようにしなければならない。 — location: [3028](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=3028) ^ref-29978 --- 達成志向型のモチベーションを養おうと思えば、〝アウトプット〟を評価し強調する環境をつくり出す必要がある。 — location: [3034](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=3034) ^ref-50130 --- われわれが真に追求するのは組織全体としての業績であるが、それは組織の中の人がどのくらい技能的に優れ、やる気があるかどうかによって決まる。 — location: [3091](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=3091) ^ref-5132 --- この場合のマネジャーの仕事もはっきりしている──〝コーチ〟である。第一に、理想的なコーチはチームの成功を個人的な手柄とは考えないし、それゆえ、各メンバーはコーチを信頼する。第二に、彼はチームに対して、きびしくタフである。きびしくすることにより、チームのメンバーから最高の業績を得ようと期待する。第三に、良いコーチはかつては自分も良い選手だったであろう。良いゲームをやった経験があれば、良く理解もできることになる。 — location: [3133](kindle://book?action=open&asin=B01MU055XH&location=3133) ^ref-55879 ---