# 会社の問題発見、課題設定、問題解決 ## Metadata * Author: [永井恒男、齋藤健太](https://www.amazon.comundefined) * ASIN: B07ZKB1MF1 * Reference: https://www.amazon.com/dp/B07ZKB1MF1 * [Kindle link](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1) ## Highlights 経営において、問題の発見から解決に至るスタイルには大きく分けると2つあります。「ビジョンアプローチ」と「ギャップアプローチ」です。 — location: [130](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=130) ^ref-6270 --- ビジョンアプローチは、理想とする将来像を描き、それの実現に向けて組織構成員が主体的、前向きに推進していきます。 — location: [134](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=134) ^ref-33630 --- ギャップアプローチは、定量的な目標(主に財務目標)を設定し、組織構成員をプレッシャーによって駆り立てていきます。 — location: [138](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=138) ^ref-10659 --- 組織内で順位が生まれ、上位の社員は自分が誇らしく優越感を感じますが、下位の社員は目標達成できないことに落胆、恥、申し訳なさを感じます。この場合、同僚は競争相手であり、不安やコンプレックスの原因です。協力関係が作りにくい状況であるとも言えます。  一方、ビジョンアプローチでは、ゼロをベースに理想の姿に向かってどれだけ進んだか? に注目します。水がコップの半分入っている状態において「水が半分も入っている」と喜ぶことができるのが、ビジョンアプローチの特徴です。 — location: [217](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=217) ^ref-38472 --- このマインドセットでは、他人と比較するのではなく、以前の自分と比較します。先月、昨年の自分と比べるとどれだけ自分は将来像に向かって進んだのか? を考えます。目標へのギャップを追求するのではなく、目標達成を祝うマネジメントが必要になります。  例えば、個人のノルマを作らないとか、チーム全体で目標を設定するといったような工夫があります。他人と比較するわけではないので、同僚は競争相手ではなく、理想の将来像を目指す同志です。 — location: [223](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=223) ^ref-27492 --- 社員が同じビジョンを目指す「同志」の関係になるのがビジョンアプローチです。 — location: [274](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=274) ^ref-65214 --- 中期経営計画の策定こそが長期的なビジョンを考え、経営陣、全社で対話する機会なのです。しかし、中期経営計画策定プロセスですら、大きな夢を描いたり、理想の会社や社会の姿を考えたりする機会は少ないというのが実情です。 — location: [310](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=310) ^ref-51556 --- 財務的なKPIで「売上・利益○○億円」や「業界ナンバーワン」を目指すのではなく、お客様や社会にどのような変化や価値を提供するのかを示すのがビジョンアプローチです。 — location: [320](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=320) ^ref-58209 --- 理想の将来像(ビジョン)の策定方法  挑戦的で人々の共感を生む理想の将来像(ビジョン)の策定を筆者はこの手順で策定を行っています。 ① 強み・価値を発見する ② どうありたいか、最大限の可能性を描く ③ 実現したい状態を共有する ④ 新しい挑戦を始める — location: [373](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=373) ^ref-6511 --- 理想の将来像を描く時、まず最初に必要なのは、自分と組織の強みを知ることです。ビジョンを描く際に大切なのは「YD感」、「やればできる感覚」です。それが無ければ、明るい未来なんて考えることはできません。 — location: [378](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=378) ^ref-2359 --- コツは他人と比べて何が強いのかを考えるのではなく、自分の特徴として何があるのかを考えることです。 — location: [397](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=397) ^ref-52723 --- Purposeとは、自分たちの組織がなぜ存在しているのかを表現することです。「この組織は何のために存在しているのか?」という問いへのシンプルな答えをPurposeで表します。 — location: [464](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=464) ^ref-14138 --- Purposeには、「その組織の価値観」と「社会的な意義」が含まれている必要があります。人からのお仕着せではなく、自分達が心から信じられることが重要なので、組織の価値観に沿っていなくてはなりません。また、自分達の利益や成功の追求だけでなく、社会にとっての利益を追求するので社会的な意義も含まれているべきです。 — location: [469](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=469) ^ref-12245 --- Purposeが注目されるようになり、組織の価値観を表現する組織は増えてきました。しかし、「社会的な意義」まで具体的に表現できていない組織が多いように感じています。 ・自分たちが活動することで、世の中にどんな良い影響を与えたいのか? ・自分たちは世界のどんな課題を解決するのか?  このような要素が入っていることが、Purposeにとって必要不可欠となります。 — location: [473](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=473) ^ref-38786 --- 「ビジョン」とは、ある時点において実現していたい理想的な状態の具体的な描写のことです。 — location: [480](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=480) ^ref-57960 --- 「自分たちは何者でありたいか」を表現するミッションは、「自分たちは何のために存在しているのか(存在意義)」を表すPurposeと同じニュアンスを含みます。しかし、「業界でナンバーワン企業になる」「〇〇億円企業になる」というミッションは、Purposeとは異なります。お客様や社会に対する影響が不明確だからです。 — location: [488](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=488) ^ref-39029 --- Purposeは、 ・社会的意義(社会に何を働きかけていきたいのか)が含まれている ・誰かから与えられるものではなく、自分ごととして捉えられている(自身の価値観や夢、志から構成される)  ことが重要だと考えています。逆に言えば、これらの要素を含んでいるミッションの場合は、Purposeと同一であるということです。 — location: [494](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=494) ^ref-1963 --- 一般的に個人のPurposeと組織のPurposeの重なりが大きい方が効率的ですし、より実現性が高まりますので、個人と組織のPurposeの両方を探求する必要があります。自分のPurposeがない人が組織のPurposeを考えたとしたら、また自分のPurposeと相反する組織のPurposeを策定したとしたら、人々はあまりそのPurposeを信じることができません。信憑性に欠けると判断するからです。そのため、組織のPurposeを策定する前に、まずは自分のPurposeを探ることから始めましょう。 — location: [502](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=502) ^ref-42516 --- 実際には私たち個人にはこんなことを実現する力はないかもしれません。それでも私たち個人がそれぞれ「こんな世界を実現したい!」という思いを持って日々生きていくことが重要だと思っています。そういった意味で、筆者のPurposeは「世界平和とイノベーションを推進する」であると定義しています。 — location: [519](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=519) ^ref-40708 --- OKRは 20 人ぐらいまでの組織であれば運用ができると思います。大企業であれば部署毎に実施することになるでしょう。大きな組織であっても、長期的な取り組みが多い上に突発事項が多く集中してそれに取り組むことができない経営陣や経営企画部署にはOKRは有効です。普段バラバラに活動している人達ほど、OKRによって個人の活動の情報共有が格段に進みます。会社全体の方向性やそれに向かう活動が自分ごととして達成していく様を喜ぶことができます。 — location: [869](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=869) ^ref-20127 --- 個人の仕事振りに焦点を当てるのではなく、組織全体として結果から学んでいこうということを目的としています。一般的に反省会というと、何だかうまく行かなかったことと改善について語られることが多いと思いますが、うまく行ったことをしっかり認識し、そこからも学ぼうという姿勢もビジョンアプローチの鍵です。 — location: [898](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=898) ^ref-62676 --- Evolutionary Purpose(進化し続ける目的) — location: [926](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=926) ^ref-38225 --- 理想の将来像(ビジョン)とPurposeは互いに影響しながら、常に進化し続けます。 — location: [943](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=943) ^ref-64955 --- ビジョンアプローチでも、日々様々な問題が発生し、それに対して論理的に解決策を作っていくことには変わりありません。  ① 問題を特定する、 ② 原因を分析する、 ③ 解決方法を検討する、 ④ 問題解決のアクションを考えていく、のは当然です。ただし、ビジョンアプローチでは、問題や原因を短絡的に分析、特定せずに、全体的長期的観点で捉えるように心がけます。そのためにはシステムシンキングが有効です。 — location: [946](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=946) ^ref-44982 --- ここでいうミッションステートメントとは、ゴールと手段を示すものです。  ゴールは、 ① 何を目指すのか?、② 財務および非財務的ゴール、 ③ 望ましいポジションニング、が含まれ、手段とは、 ① コンピテンシー、 ② 競争戦略、 ③ 社員の幸福に対する気づかい、が含まれます。ミッションステートメントは「ゴール」と「手段」が含まれていることが重要です。 — location: [1046](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=1046) ^ref-18513 --- 理想の将来像(ビジョン)は、目的と可能性を描いているのでメンバーの直接的動機を向上させます。  一方、間接的動機は、仕事に対するモチベーションではありますが、パフォーマンスを下げる効果があります。 — location: [1094](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=1094) ^ref-55320 --- ここでいうパフォーマンスには「戦略的パフォーマンス」と「適応的パフォーマンス」の2つがあります。 — location: [1111](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=1111) ^ref-60897 --- 間接的動機は短期的に戦略的パフォーマンスを出すには有効ですが、長期的な戦略的パフォーマンスや適応的パフォーマンスを損なうことが証明されています。 — location: [1120](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=1120) ^ref-21775 --- 現在のようなVUCAの経営環境においては戦略的パフォーマンスだけでは不十分です。  VUCAとは、Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)という4つのキーワードの頭文字から取った言葉です。まさに適応的パフォーマンスを上げなくては、VUCAの環境下で成果を出し続けることは難しいのです。 — location: [1126](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=1126) ^ref-43253 --- 著書によれば、「楽しさ、目的、可能性」を上げ、「感情的圧力、経済的圧力、惰性」を下げることによって、顧客満足が向上し、好業績につながる、と述べています。 「働くことに楽しさと目的と可能性を感じさせる社風は、社員のパフォーマンスを高め、それを持続させる」というのがドシとマクレガーの第一の主張です。 — location: [1135](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=1135) ^ref-52894 --- 当社のChief Happiness Officer (CHO)である丹羽真理は著作『パーパス・マネジメント』(クロスメディア・パブリッシング)の中で、幸福度の高い社員はそうでない社員に比べて高いビジネス成果を生み出すと述べています。  また、幸福を高めるにはPARWが重要であることも説明しています。PARWとは、Purpose(存在意義)、Authenticity(自分らしさ)、Relationship(関係性)、Wellness(心身の健康)を示します。 — location: [1173](kindle://book?action=open&asin=B07ZKB1MF1&location=1173) ^ref-40248 ---