# 仮説思考―BCG流 問題発見・解決の発想法 内田和成の思考
## Metadata
* Author: [内田 和成](https://www.amazon.comundefined)
* ASIN: B00AQEPY1K
* Reference: https://www.amazon.com/dp/B00AQEPY1K
* [Kindle link](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K)
## Highlights
仮説思考を実践すると、不思議なことに、仕事がスムーズに進むようになり、同時に仕事の正確性も増した。情報を闇雲に集めると、仕事を遅くすることはあっても、正確性が増すことは少ないと気づいた。情報洪水に埋もれてしまっていたのである。 — location: [29](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=29) ^ref-26959
---
要するに、あらゆる情報を網羅的に調べてから答えを出していくには、時間的にも資源的にも無理があるということである。 実は仕事ができる人は、人より答えを出すのが早いのである。 — location: [113](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=113) ^ref-2121
---
仕事の速い人は限られた情報をベースに、人より早くかつ正確に問題点を発見でき、かつ解決策につなげることのできる思考法を身につけているのである。 — location: [117](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=117) ^ref-26279
---
仮説思考を身につけることによって、迅速かつ正確に課題の本質を解明し、解決策を導きだすことができるようになる。 — location: [141](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=141) ^ref-45347
---
本書では以下の四点についてできるかぎり具体的に述べたい。 仮説思考を身につけることによって、どんなメリットがあるのか? どうしたら仮説を構築することができるのか? 立てた仮説を検証し、進化させていくにはどうしたらいいのか? 仮説思考力を高めていくには日常どんなことをしたらいいのか? — location: [142](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=142) ^ref-37109
---
仕事の進め方で大事なことは答えから発想することだ。課題を分析して答えを出すのではなく、まず答えを出し、それを分析して証明するのである。 — location: [162](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=162) ^ref-2999
---
具体的には仮説を立てることで、やるべきことがクリアになり、論点を深く考えることができる。つまり、 — location: [169](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=169) ^ref-23144
---
ビジネスパーソンにとって大切な能力は、先見性、決断力、実行力の三つである。 — location: [217](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=217) ^ref-27144
---
そして、先見性、決断力、実行力の三つの能力のうち、先見性と決断力の二つは、仮説思考と密接な関係がある。すなわち不透明な霧の中でもわかり得ることは見通しておくクセをつけ、意思決定していくことが必要なのだ。 — location: [240](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=240) ^ref-51157
---
ビジネスパーソンが仮説思考を身につけ、使いこなせるようになると、日常の仕事を行なう上で、大きく三つのメリットがある。 ひとつ目は、情報洪水に溺れなくなること。二つ目は、問題解決に役立つこと。そして三つ目は、大局観をもって仕事ができることだ。いずれもそれによって、仕事の効率が高まり、質の向上にもつながる。 — location: [284](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=284) ^ref-20625
---
たしかにある程度の情報は必要なのだが、情報が多ければ多いほど、よい意思決定ができるというのは、間違った思い込みである。 — location: [292](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=292) ^ref-21712
---
意思決定をするときには、いますでにある選択肢を狭めてくれる情報だけが役立つのだ。 — location: [302](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=302) ^ref-45895
---
迅速な意思決定のためには、いまある選択肢をいかに絞り込むかという視点で情報収集すべきなのだ。意思決定に使える時間には限りがあり、完璧な答えが出るまで意思決定を先送りしたくても、相手は待ってはくれない。となると、いかに限られた情報をもとに最適な意思決定をするかがカギとなる。 — location: [323](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=323) ^ref-3211
---
企業も同じで、同時にあれこれ手をつけるよりも、ここだけは直さなくてはという一点に集中して、そこを手直ししていったほうがうまくいくものである。 — location: [370](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=370) ^ref-22110
---
具体的には、まずストーリー構成を考える。たとえば、「現状分析をするとこういう分析結果が得られるだろう。その中でもこの問題の真の原因はこれで、その結果としていくつかの戦略が考えられるが、最も効果的なのはこの戦略だ」ということを、十分な分析や証拠のない段階でつくり上げる。 つまり、問題に対する解決策や戦略まで踏み込んで、全体のストーリーをつくってしまう。そうすると、ごく一部の証拠は揃っているけれども、大半は証拠がない状態になり、そこから証拠集めを開始することになる。その場合には、自分がつくったストーリー、つまり仮説を検証するために必要な証拠だけを集めればいいので、無駄な分析や情報収集の必要がなくなり、非常に効率がよくなる。 — location: [412](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=412) ^ref-32950
---
仮説思考で最初から自分なりにある程度まで踏み込んだストーリーを組み立て、それが正しいかどうか調べ、間違いに気がついたらただちに軌道修正し、あらためて他のストーリーを考える。この方法が最も効率的だ。 — location: [424](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=424) ^ref-26177
---
重要な論点もそうでない論点も同じレベルで分析されている。 それよりは、ある一点を深く調べたレポートのほうが、問題の本質に迫れる可能性が高い上に、経営上の打ち手につながりやすい。 — location: [459](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=459) ^ref-40252
---
さらに仮説の検証をある程度やった後で、上司や顧客からこういう点はおかしいのではないか、それはこんなふうに解釈すると逆の結果になるのではないか、といってもらえば、さらに仮説は進化する。上司や先輩が仮説思考にたけた人であれば、彼らがより進化した仮説を出してくれる可能性も高い。要するに、立てた仮説を後生大事に自分ひとりで抱え込むということさえしなければ、間違いや不十分なことをおそれる心配はないのである。 — location: [473](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=473) ^ref-24601
---
しかし実際には、分析が苦手でも仮説が立てられれば、ビジネスの世界では通用する。反対に、いくら分析が得意でも仮説が立てられなければ、大きな仕事はできない。 — location: [481](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=481) ^ref-41426
---
たとえばプロジェクトのスケジュールを組むときも、きちんと積み上げていって終了間際にゴールに到達するようなスケジュールはよいとはいえない。むしろ与えられた期間の半分くらいのところで、大まかに全体を結論づけてしまうことだ。それでその後に、部分を改善していく。このような考え方を取り入れていくことで、仕事の質と効率の両面を著しく高めていくことができよう。 — location: [489](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=489) ^ref-2026
---
実際に問題を解決する場合、問題そのものを発見する「問題発見の仮説」と、明らかになった問題を実際に解決する「問題解決の仮説」の二段階の仮説を使う。 — location: [540](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=540) ^ref-2369
---
問題を発見したら、問題解決のための仮説づくりに進む。このとき大切なのは、いかに素早く、少ない数のスジのよい答えを考えられるかだ。 — location: [574](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=574) ^ref-33079
---
この思考プロセスでわかるように、重要なのは最初に問題を絞り込むことである。問題を絞り込むと、幅広いテーマでもかなりコンパクトに扱うことができる。仮説を使うということは、問題を考えついたり、答えを探しだしたりするプロセスというよりむしろ、効率的に不要な問題や役に立たない解決策を消去するプロセスなのである。 — location: [636](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=636) ^ref-21392
---
なにより仮説は正解ではない。確からしい答えなのである。極論すれば間違っていても一向にかまわないというものだ。仮説は何らかの作業を通じて検証できるものでなくてはならない。仮説は検証することで、よりよい仮説に進化していく。仮説→実験→検証を繰り返すことによって、個人や組織の能力は向上するともいえる。したがって、仕事の中にこのプロセスを組み込むことができれば、比較的スムーズに業務改善を進めていくことができる。 — location: [644](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=644) ^ref-61192
---
仮説→実験→検証は、繰り返せば繰り返すほどよい。ひとつのサイクル(仮説→実験→検証)でわかったことをもとに、より進歩した仮説を立て、実験し、検証できる。これを繰り返すことによって、仮説はさらによくなる。すなわち仮説が進化していく。仮説を進化させるには、仮説を立ててから検証するまでのサイクルタイムを可能な限り短期間に抑え、できるだけ数多くの実験を繰り返すことがポイントになる。単位時間内に行なえる実験回数が多ければ多いほど、仮説がプラスに検証される確率が高まるからである。 — location: [692](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=692) ^ref-27963
---
立ち止まって考えるよりも、とりあえずの答えをもって、実験するという方法も有効なのだ。実験によって検証し、さらによい仮説をつくり、さらなる検証によって仮説の精度を高めていくことが肝心だ。 — location: [699](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=699) ^ref-25986
---
少ない情報で仮説思考を働かせて全体のストーリーと構成を考え、さらに必要な情報だけを追加で調べる。調べた結果に応じて、ストーリーを修正したり進化させたりしていく。このようなやり方のほうが、効率がいいし、結果的に問題解決に直結するよいレポートになる。 — location: [712](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=712) ^ref-1483
---
構造化とは、「今回のストーリーをこういう内容でつくり、こういう構成で仕立てようという全体のシナリオ」をつくることだ。たとえば、「現状分析をしてみると、こんな分析結果が得られるだろう。その中でも問題の真因はこれで、その結果としていくつかの打ち手が考えられる。中でも最も効果的なのはこの戦略だろう」という筋道を、仮説ベースでつくってしまう。 — location: [716](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=716) ^ref-38699
---
このようにストーリーのアウトラインをつくる場合に、BCGでは「空パック」を使う。これは「空パッケージ」の略で、中身が埋まっていないスライドがたくさんあるパッケージという意味だ。 — location: [811](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=811) ^ref-1362
---
ストーリーを構造化するということは、ストーリーをこういう内容でつくり、こういう構成で仕立てようという全体のシナリオをつくることだ。 まずはストーリーを構造化して全体を見通してから、その後、それぞれのブロックに適切なグラフや資料を盛り込んでストーリーを詳細につくり上げていく。 — location: [837](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=837) ^ref-32320
---
プレゼンテーション用のパッケージは、シンプルでわかりやすいことが大切だ。組織では企画提案や提言の内容が簡単でわかりやすいほど行動に移しやすく、変化が起こりやすい。したがって、提案・提言の前段となるパッケージも、簡単でわかりやすいものでなくてはならない。 — location: [861](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=861) ^ref-50604
---
このように仮説の立て方は人それぞれで定石はない。仮説構築にはさまざまな方法がある。ここでは、分析結果から仮説を立てる方法、インタビューから仮説を立てる方法、そして、ヒラメキの三つを紹介する。 — location: [954](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=954) ^ref-62283
---
まずは分析結果から仮説を立てる方法だ。これは、すでにある分析結果を見て仮説を立てるやり方だ。仮説を立てるに当たり、あらためて何らかの分析を行なうわけではない。仮説検証の項でも述べるが、分析は本来、仮説検証のために使うものだ。 — location: [959](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=959) ^ref-13136
---
仮説を構築するに当たり、インタビューがたいへん有効な方法であることは前述したとおりである。そこで、ここではインタビューの具体的な技術について話をしたい。 インタビューを行なう場合、まずは目的をきちんと理解することだ。一般的には、次のような目的でインタビューは行なわれる。 — location: [1070](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1070) ^ref-28593
---
目的 業界・業務を理解する — location: [1074](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1074) ^ref-33032
---
目的 問題を発見・整理する — location: [1081](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1081) ^ref-58357
---
目的 仮説を構築・検証する — location: [1086](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1086) ^ref-22412
---
質問は深く掘り下げていく必要がある。仮説を立てるためにも、仮説を進化させるためにもこれはとても重要なことだ。 — location: [1096](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1096) ^ref-8628
---
インタビューで大切なことは相手の本音を引きだすことだ。そのためにはいきなり核心をつく質問をし、相手をグッと詰まらせることも必要だ。 — location: [1107](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1107) ^ref-63980
---
つまり、インタビューが一件終わるたびに結果を 咀嚼 し、インタビューの目的と照らし合わせながら、質問の内容を変えたほうがいいかどうかを考え、次のインタビューにのぞむのだ。よいインタビューをするためには、このように質問を進化させていくことが必要だ。 そしてインタビューの最中でも、あらかじめ決められた質問を順番に聞いていくのではなく、相手の出方や答えに応じて臨機応変に質問の内容を変えていくことが重要だ。 — location: [1131](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1131) ^ref-33115
---
インタビューメモをつくる目的は三つある。それは、 自分の頭を整理するため、 インタビューで得たことを他人とシェアするため、 プレゼン資料を作成するときのベースにするため、だ。目的によってメモ作成のポイントは異なる。 — location: [1139](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1139) ^ref-27261
---
目的 自分の頭を整理するために — location: [1142](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1142) ^ref-3250
---
自分の頭を整理するためには、まずメモを構造化する。 — location: [1143](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1143) ^ref-13733
---
目的 他人と情報をシェアするために — location: [1155](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1155) ^ref-38691
---
他人と情報をシェアするには、メモの内容を客観と主観に区別する必要がある。 — location: [1156](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1156) ^ref-27306
---
目的 プレゼン資料のベースとするために 資料のベースとして使うインタビューメモは、定量化を心がける。 — location: [1159](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1159) ^ref-28099
---
頭の使い方を変えるとは、一言でいえば普段より幅広く使うことに尽きる。幅広く考える方法として、ここでは 反対側から見る、 両極端に振って考える、 ゼロベースで考える、の三つを紹介しておく。 — location: [1175](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1175) ^ref-63950
---
□方法1 反対側から見る 最初に「反対側から見る」について説明しよう。反対側から見るには、 顧客・消費者の視点をもつ、 現場の視点で考える、 競争相手の視点で考える、の三つの思考法がある。 — location: [1178](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1178) ^ref-51215
---
両極端に振って考えることによって、物事の本質が見えてくるのだ。「両極端」を探求することによって、無数の事象や関係の中から、何が最も重要で決定的なことかを識別するスキルを磨くことができる。 — location: [1274](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1274) ^ref-49316
---
最初から非現実的な仮説や突拍子もない仮説を除いて考えると、常識的な考えしか思い浮かばず、真の課題や原因にたどり着かないことがある。だから最初は枠を外し、あえて幅広く考えてみるのだ。その後で、非現実的な仮説やすぐに反証のでる仮説を除いていく。 — location: [1316](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1316) ^ref-7710
---
□条件1 掘り下げられている — location: [1321](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1321) ^ref-16038
---
これができるようになるために、仮説を立てるときには常に、So What ?(「だから、何?」、「だから、どうする?」)と考えるべきだ。 — location: [1351](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1351) ^ref-13340
---
□条件2 アクションに結びつく — location: [1357](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1357) ^ref-38779
---
よい仮説の条件とは、「一段深く掘り下げたものである」ことと、「具体的な解決策あるいは戦略に結びつく」ことの二つだ。 — location: [1368](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1368) ^ref-62023
---
□よい仮説を立てることが重要な理由 よい仮説を立てられると、問題解決はとてもスムーズになる。 — location: [1370](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1370) ^ref-5476
---
問題発見が早くなる — location: [1372](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1372) ^ref-21643
---
解決策が早く立てられる — location: [1382](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1382) ^ref-16834
---
解決策が絞り込める — location: [1385](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1385) ^ref-9745
---
よい仮説をつくるには、いったん立てた仮説をそれでおしまいにせず、深掘りして進化させる必要がある。 そのためには次章で述べる「検証」という技が重要な意味をもつのである。 — location: [1394](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1394) ^ref-47519
---
□大きな問題と小さな問題を明確にする 構築した仮説は深掘りして進化させていく必要がある。ここでは仮説を深掘りする上で便利な方法として、イシュー・ツリー、あるいは論点の構造化と呼ばれるアプローチを紹介したい。図表3-4のようなツリー構造の絵を描き、システマティックに仮説を構造化する方法だ。こうすることによって、大きな問題と小さな問題を明確にすることができる。 — location: [1399](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1399) ^ref-51099
---
このように、立てた仮説を検証して絞り込み、可能性のある仮説についてはさらに踏み込んで仮説を立てて、検証する。それを繰り返すことで仮説を進化させていくのが、イシュー・ツリーを使ったアプローチだ。 この方法を使うと、自分が立てた仮説を検証するときにわかりやすく整理できるし、相手を説得するときにも有効だ。たとえば相手から何か反論を受けたときにも、このイシュー・ツリーを見せながら、「それは検証済みだ」、「それは違う」と論理的に説得することができる。 — location: [1450](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1450) ^ref-51705
---
仮説は検証し、進化させていく。検証方法にはいくつかある。主な方法として、ここでは、 実験による検証、 ディスカッションによる検証、 分析による検証を紹介する。もちろん、これらを個別に行なうというわけではなく、通常、コンサルタントはこの方法を合わせて使っている。 — location: [1461](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1461) ^ref-2828
---
ミクロな意思決定だからといっても、実験を繰り返すには相当な企業体力が必要になるだろう。 — location: [1539](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1539) ^ref-42161
---
したがって、次に述べるディスカッションや分析による検証が、現実的には、重要な意味をもってくる。徹底的なディスカッションや分析を行なうことによって、仮説の精度を上げることができるのだ。ときには実験を行なうまでもなく、より精度の高い仮説に進化させることもできるはずだ。 — location: [1540](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1540) ^ref-18909
---
自分ひとりで考えているとおのずと限界も出てくるし、悪いサイクルに入ってしまうと、自分では気がつかずに同じところをぐるぐる回ってしまうことも多い。同僚やその道のベテランを交えてディスカッションすることで、自分の考えが進化したり、勘違いや思いこみを排除することができる。また思い切った発想が必要なときは、逆にその分野では門外漢だが幅広い教養をもった人物や、素人のほうが、ユニークで斬新なアイデアが出てくることが多い。 — location: [1557](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1557) ^ref-12434
---
恥をかきたくないと思うと、できるだけ仮説を完璧なものに近づけてから周囲の人とディスカッションをし、答えを出そうとする。しかし、それでは時間がかかりすぎたり、結局よい解決策に到達できなかったりする場合が多い。恥をかくことをおそれずに、中途半端な仮説でも前倒しでぶつけてみて、よいインプットをもらい、修正したり進化させたりしていくことが大切だ。 — location: [1571](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1571) ^ref-39112
---
□上手なディスカッションを実施するコツ — location: [1604](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1604) ^ref-12813
---
コツ1 必ず仮説を立てていく まず、ディスカッションに何の仮説や考えももたずに手ぶらでのぞみ、相手から答えだけを引きだそうと思うのは虫がよすぎる。ディスカッションで答えを引きだしたいなら、必ず自分なりに仮説を立てておき、それを先にぶつけなくてはならない。これは最低限のルールで、自分で何もわからない状態で相手に教えてもらおうとする姿勢では何も得られない。 — location: [1607](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1607) ^ref-37493
---
コツ2 仮説を否定せずに進化を目指す — location: [1615](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1615) ^ref-56156
---
しかし、否定からは進歩は生まれない。単に否定するのではなく、「こういう考え方のほうが答えに近づくのではないか」、「こういう視点を加えたらどうか」というアドバイスをする。これがディスカッションで仮説を検証し、進化させるコツである。 — location: [1617](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1617) ^ref-29157
---
コツ3 議論は負けるが勝ち — location: [1620](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1620) ^ref-36319
---
ディスカッションの目的は勝つか負けるかではなく、仮説の検証と進化である。ディスカッションを行なうときはそのことを忘れずに、場合によっては「負けて実を取る」ことも必要になる。 — location: [1622](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1622) ^ref-30625
---
コツ4 メンバーはバラエティ豊かに — location: [1625](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1625) ^ref-25528
---
□分析の基本はクイック&ダーティー 分析も検証の際に重要だ。それでも精緻な分析は必ずしも必要ではない。仮説の検証のための分析のコツは、まず最小限の要素だけを急いで簡単にやるよう心がけることだ。 — location: [1633](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1633) ^ref-21285
---
□分析を行なう目的は三つ 分析による検証を行なう前に、分析の目的をおさらいしておこう。一般的に考えられている分析の目的は、 問題を発見する、 相手を説得する、 自分を納得させる、の三点である。 — location: [1654](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1654) ^ref-56817
---
問題を発見する — location: [1658](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1658) ^ref-37988
---
相手を説得する — location: [1664](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1664) ^ref-39582
---
自分を納得させる — location: [1671](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1671) ^ref-18269
---
□まず仮説ありき、次に分析 — location: [1674](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1674) ^ref-26321
---
このように分析にはいろいろな目的があるが、いずれの場合においても最も大切なのは、仮説を検証するために分析を行なうということだ。闇雲に分析してから問題を整理するのではなく、まず問題意識をもって仮説をつくり、それが正しいかどうかを検証することが、分析を行なう正しい態度である。 — location: [1675](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1675) ^ref-22465
---
□ 比較・差異による分析 — location: [1690](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1690) ^ref-35882
---
□ 時系列による分析 — location: [1718](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1718) ^ref-63128
---
□ 分布による分析 — location: [1744](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1744) ^ref-4431
---
□ 因数分解による分析 — location: [1775](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1775) ^ref-36757
---
仮説思考力が高まっていくと、最初から相当筋のよい仮説を立てることができる。検証した結果誤っていたので振りだしに戻って仮説を立て直すということがほとんどなくなる。少なくとも筋のよい仮説を立てる確率は上がる。 — location: [1812](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1812) ^ref-60227
---
言葉を換えれば、最初から進化した仮説を立てられるともいえる。それは無意識のうちに脳内で仮説検証を素早く行なってしまっていることを意味する。仮説を思いついた瞬間に、ああでもない、こうでもないとさまざまな視点から検証し、わずかな時間のうちに仮説を進化させてしまうのだ。 — location: [1815](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1815) ^ref-17246
---
だ。よい仮説は、経験に裏打ちされた直感から生まれる。仮説を立てるには経験を積むことが大切だ。少ない情報でよい仮説を立てられるようになるには、経験を重ねるしかない。 — location: [1834](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1834) ^ref-19443
---
□トレーニング1 So What ? を常に考える — location: [1839](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1839) ^ref-52465
---
□トレーニング2 なぜを繰り返す — location: [1858](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1858) ^ref-47895
---
どんなトレーニング法でもトレーニングの基本は、仮説の幅を拡げ、検証し、So What ?で深く掘り下げることだ。これでアクションにつながる仮説づくりに挑戦してほしい。 — location: [1995](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=1995) ^ref-52970
---
相手のメガネをかけてものを見る、すなわち相手の立場で考えることが、いままでと違う発想や、より建設的な提案につながる仮説を生むことになる。 — location: [2003](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=2003) ^ref-44362
---
もし自分が上司なら、問題解決に際し、どのような意思決定をするか。これをいつも頭に置き、シミュレーションしてみる。自分ならどんな仮説を立てて、どう判断するか考えてみるという方法だ。 — location: [2022](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=2022) ^ref-29511
---
仮説を立てることは決して単純な話ではなく、よい経験、バラエティに富んだ経験を積むことが非常に大切だ。ビジネス経験が浅いうちはどんどん仮説を立ててみて、もしも間違っていたら別の仮説を立て、もしよさそうであればその仮説をさらに進化させることを繰り返し練習することだ。 — location: [2036](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=2036) ^ref-24416
---
いる。「自分が何かの分野で成長するために、それまでと違ったことに挑戦したり、さらに上の段階を目指して努力するときには失敗がつきもの」だ — location: [2044](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=2044) ^ref-25226
---
BCGには「知的タフネス」という言葉がある。知的に打たれ強いという意味だ。いくらIQ(知能指数)が高くても、人にいろいろいわれると耐えきれなくて、ポロッと折れてしまう人がいる。それに比べると、IQが多少低くても、何度でも何度でも挑戦して、そこから学び取れる人間のほうが成功している。何 — location: [2067](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=2067) ^ref-45029
---
□仮説の効用──仕事が速くなる、質が上がる ひとつめのポイントは、仮説の効用である。 まず個人レベルの話から始めると、間違いなくいえることは仕事をこなすスピードが速くなることである。 — location: [2075](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=2075) ^ref-40840
---
仮説思考の効用の二番目は、仕事の質が高くなることである。 — location: [2084](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=2084) ^ref-48419
---
意思決定の質を高めるという意味で、仮説思考はきわめて重要な役割を果たす。 — location: [2086](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=2086) ^ref-29940
---
一方、仮説思考は、組織にとっても大事な役割を果たす。 仮説・検証を組織全体で共有化できれば、個人の学習に比べて効果ははるかに大きい。すなわち、企業の組織能力を飛躍的に高めることができる。学習できる、すなわち成長できる組織になるには、仮説・検証の繰り返し、すなわち仮説・検証で得た学びを組織で共有化することだ。 — location: [2096](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=2096) ^ref-41683
---
□気持ち悪くても結論から考える 二番目のポイントは、仮説思考は慣れないうちは気持ち悪さを伴うが、その気持ち悪さを乗り越えないと、いつまでも仮説思考が身につかないということである。 — location: [2107](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=2107) ^ref-13296
---
結論から考えるやり方には、自分の心の気持ち悪さだけでなく、他人から反論されたり批判されたりする気持ち悪さがある。そのために、どうしても完璧に調べてから結論を出そうと思ってしまいがちだ。しかし、この網羅思考は死への道でもあることは、すでに述べたとおりだ。どうせ批判されるのなら、早くしてもらったほうが軌道修正しやすい。仕事が終わってからやり直しを命じられるのはきつい。それなら、批判覚悟、あるいは建設的なコメントをもらえることを期待して、最初から答えを出す仮説思考でいこう。分析なんてものは仮説を証明するためにする、くらいの割り切りをもってほしい。 — location: [2124](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=2124) ^ref-62567
---
少ない情報で、情報をたくさん集めた人と同じ質の推論なり課題発見なりができる人が、結局は勝つ。なぜならば、他人が情報を集めている段階で、より深掘りした課題に進める、あるいは課題の解決策構築にとりかかれるからである。 — location: [2136](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=2136) ^ref-5018
---
網羅思考を繰り返しても作業が速くなるだけで、答えにたどり着くスピードが格段に速くなるわけではない。 — location: [2140](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=2140) ^ref-13333
---
□枝葉ではなく幹が描ける人間になろう — location: [2181](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=2181) ^ref-65299
---
仮説思考が個別の課題解決だけでなく、問題の全体像や大きなストーリー(幹)をつくる上で役に立つことはすでに述べたとおりである。 — location: [2182](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=2182) ^ref-38236
---
私が好きな言葉に、「マネジャーは足元を見つめ、リーダーは地平線を見つめる」(The manager has his eye always on the bottom line; the leader has his eye on the horison. ウォーレン・ベニスの言葉)がある。リーダーである以上、足元の業績に一喜一憂するのではなく、メンバーを川の向こう岸まで運んでいく責任がある。そのためにも、先行きどうなるかの見通しをもち、それを自信をもって推し進める勇気が必要になる。そのための訓練になるのが、ストーリーをつくっていくことである。 — location: [2210](kindle://book?action=open&asin=B00AQEPY1K&location=2210) ^ref-23336
---