# ディープテック 世界の未来を切り拓く「眠れる技術」 ## Metadata * Author: [丸 幸弘、尾原和啓](https://www.amazon.comundefined) * ASIN: B07XCB444W * Reference: https://www.amazon.com/dp/B07XCB444W * [Kindle link](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W) ## Highlights ディープテックとはテクノロジーを使い、根深い課題を解決していく考え方、もしくはその活動を指す。 — location: [111](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=111) ^ref-49701 --- 事業目線から見たディープテックの特徴」を — location: [116](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=116) ^ref-13665 --- 1.インパクトが大きい 2.上市までに時間を要する 3.相当の資本投入が必要 — location: [117](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=117) ^ref-42389 --- 技術面での特徴」 — location: [118](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=118) ^ref-40401 --- 1.斬新かつ既存技術よりも大幅に進歩したもの 2.ラボから市場に実装するまでに根本的な研究開発を要するもの 3.社会的もしくは環境的な地球規模の課題に着目し、その解決のあり方を変えるもの 4.既存の産業を破壊し新たな市場を作りうるもの 5.下支えする知財は複製が困難もしくは入念に保護され、参入障壁が高いもの — location: [119](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=119) ^ref-12764 --- 本書では、ディープテックを以下のように定義づけたいと — location: [123](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=123) ^ref-54373 --- 1.社会的インパクトが大きい 2.ラボから市場に実装するまでに、根本的な研究開発を要する 3.上市までに時間を要し、相当の資本投入が必要 4.知財だけでなく、情熱、ストーリー性、知識の組み合わせ、チームといった観点から参入障壁が高いもの 5.社会的もしくは環境的な地球規模の課題に着目し、その解決のあり方を変えるもの — location: [124](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=124) ^ref-963 --- ディープテックは特許でがちがちに守られた先端技術を使って課題を解決するものではない。喫緊の社会課題をテクノロジーで解決することが目的であり、最新の技術が使われることもあれば、〝枯れた〟技術が使われることもある。 — location: [150](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=150) ^ref-30645 --- 日本には100年以上続いている老舗企業が3万3000社以上存在している。創業200年を超えている企業は世界で約5500社存在しており、そのうちの 56%が日本にある。長寿企業が突出して多い理由は様々だろう。だが、持続可能な仕組みが何かしら存在していたと考えるのが自然だ。 — location: [212](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=212) ^ref-63680 --- 10 年ほど前から存在している理論に「PSSD」という考え方がある。Product(製品)、Service(サービス)、System(システム)、Design(デザイン)の略称だ。 — location: [223](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=223) ^ref-46272 --- モノの魅力をSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)として届けていく潮流が生まれたことで、プロダクトとサービスをシステムとしてデザインし、つなげていく必要性が増したといえる。 — location: [234](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=234) ^ref-30273 --- プロダクトから生み出されるオーナーシップの感覚と、サービスとして様々なものにつながっていく感覚、この両方の感覚を満たすUX(ユーザー体験)をどう作り出していくかを考える時代に突入している。 — location: [237](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=237) ^ref-24670 --- ディープテックの領域における日本企業が活躍する類型を考えると、大きく3つあるといえる。  ひとつは、エマージングマーケットにおいてディープイシューを解決しようとする人々に対し、スケールアップ(事業を拡大)させる役割だ。2つめは、優れた特性を持つプロダクトを作り出すテクノロジーを持ち得ているにもかかわらず、時代の変遷とともにビジネスの形態が変化し、輝けていないテクノロジーをエマージングマーケットのフィールドで再び生かすという方法だ。3つめは、日本が抱えるディープイシューを解決しようとしているスタートアップ企業が、そのままエマージングマーケットに飛び込んでいくパターンだ。 — location: [245](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=245) ^ref-51377 --- ディープテックにはどのような領域が存在するのだろうか。基本的にはテクノロジーと分野に大きく分かれる。テクノロジーは、AI/ビッグデータ、バイオ/マテリアル、ロボティクス、エレクトロニクス、センサー/IoT(インターネット・オブ・シングズ)などだ。一方、分野はアグリ(農業)/フード(食料)、エコ(環境)/エネルギー、ヘルスケア(健康)、メディカル(医療)、マリン(海洋)/スペース(宇宙)といった領域だ。この掛け合わせによって、ディープテックのエリアは多様に広がる。 — location: [264](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=264) ^ref-39902 --- 重要なのは「どういった課題を解決するのか」を起点としている点だ。単なるテクノロジー × 分野ではなく、課題解決のために複数の異なるテクノロジーを掛け合わせていくのがディープテックといえる。 — location: [269](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=269) ^ref-44267 --- しかし、地球規模での課題が山積しているこの時代に必要なのは、「何のためにテクノロジーを使うのか」という視点にほかならない。そこで浮かび上がってきたのが、ハイテクとローテクを「知」によって新結合し、その集合体をテクノロジーと捉えるという概念。そして、それこそがディープテックなのである。 — location: [295](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=295) ^ref-23685 --- 段階的な進化を踏まず、一気に最先端の技術に到達することをカエル飛びになぞらえて「リープフロッグ現象」と呼ぶが、東南アジアはまさにこれだ。 — location: [330](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=330) ^ref-43161 --- 日本は地理的に、アメリカとイギリスのほぼ中間にあり、東南アジアからもほど近い。つまり日本は、ニーズ発掘地域である東南アジアとともに課題解決のために知識のハブ・集約点になり、新たな仕組みを作り出し、実装までの一連を行う「知識製造」を担うポテンシャルがある。加えて、欧米圏からのシーズを東南アジアに導入していく上で、補助的な立ち位置にもいるのだ。 — location: [336](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=336) ^ref-30525 --- 母国語で取り組んでいるオリジナルの研究と、英語で行われている最先端の研究が混ざっていくこと。それこそが、実は日本が飛躍した方法論であった。 — location: [356](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=356) ^ref-39347 --- こうした日本の町工場による「開発支援」と、日本企業による「経営支援・事業化支援」を経て、アジアや欧米のマーケットに進出し、最終的に日本でIPO(新規株式公開)を狙うモデルを「インバウンドグローバライゼーション」と呼んでいる。 — location: [369](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=369) ^ref-14933 --- リスクが高く苦役を伴う労働をドローンが代替してくれるのであれば、そこに割かれていた人材に教育や経験をほどこし、たとえばシステムエンジニアとして育成することで、社会全体としてより高い価値を生み出すことができるようになるだろう。 — location: [576](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=576) ^ref-56490 --- 特許やビジネスモデルではなく、ディープイシューを知っている人が、そのまま実装までやり切るという意志。これこそ、大企業にも負けないディープサイエンスベンチャーの真髄であり、今後、支援の輪が広がっていくことになるはず — location: [600](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=600) ^ref-4235 --- さらに大事なポイントは、こういった技術ができると、同じ条件で農業をする他国にも、技術を横展開できることだ。つまり、最初はローカルサステナビリティとして回り始めたビジネスが、さらにローカルスケーラビリティを起こすと、横 — location: [661](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=661) ^ref-11048 --- このように、ローカルで循環させられるコストや技術によって、ビジネスとして持続できる状態がローカルサステナビリティだ。 — location: [680](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=680) ^ref-10651 --- CSR、CSV、ESG、SDGs、そしてディープテックへ — location: [738](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=738) ^ref-63945 --- SDGsで定められている 17 の目標の中で、ディープテックベンチャーと相性がいいのは 12 番の「持続可能な消費と生産パターンを確保する」である。ほかの目標と同様、SDGsの 12 番も具体的目標が2030年に向けて定められており、成長にあった持続的消費を続けるためにReduce(削減)、Reuse(再利用)、Recycle(再生)とするサーキュレーションエコノミー(循環型経済)が重視されている。 — location: [761](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=761) ^ref-59684 --- そもそも現代における貧困にはいくつかの負の循環がある。こういった月額制が解決するのは、まとまったお金がないために初期投資ができず、設備を整えられないために起こる様々な悪循環だ。 — location: [796](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=796) ^ref-7273 --- AIといえば高度なテクノロジーのようにイメージされがちだが、昨今はごく簡単なAI技術が、ローカルディープイシューを解決する例も多い。 — location: [823](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=823) ^ref-3750 --- MITメディアラボのRamesh Rasker(ラメシュ・ラスカー)氏が分類したイノベーションの類型を基に説明した。 — location: [867](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=867) ^ref-52681 --- ラスカー氏は「問題の状態(解決できる課題が分かっている/分かっていない)」と「解決策の在り方(簡単に作れる/作り方と使い方が分かっている/作り方と使い方が分からない)」という2軸で、イノベーションを分類。 — location: [868](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=868) ^ref-22990 --- 従来の経済活動(エコノミー)が「資源の採取→製造→廃棄」という一方通行、つまり、リニアエコノミー(直線的経済)だったのに対し、サーキュラーエコノミー(循環型経済)では、生産・消費・廃棄という各ステージにおいて資源を循環させることで、持続可能な社会の実現とともに経済成長をも見据える、という考え方 — location: [1011](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=1011) ^ref-40526 --- 常識や慣習を壊していくことは、イノベーションを起こすための重要なトリガーとなるが、サステナブルグロースの観点からも、従来の常識を疑ってみることは必要だ。 — location: [1071](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=1071) ^ref-17642 --- バイオマス関連では、5Fと言われているフォーカスポイントがある。Food(食料)、Fiber(繊維)、Feed(飼料)、Fertilizer(肥料)、Fuel(燃料)の5つ — location: [1110](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=1110) ^ref-10664 --- 現状、「自身が持つ一番強い技術を狭い領域でしか使えていない」と悟ったこと、そしてそれ以外の可能性を探っていくことで、新たなる価値を社会に提供しているという点だ。 — location: [1114](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=1114) ^ref-31177 --- テクノロジーとディープイシュー、その双方を行き来する。これこそが、いま、日本の企業が持つべき視点にほかならない。なにも、最新テクノロジーである必要はない。むしろ枯れた技術、眠っている技術こそがディープイシューの解決に役立つかもしれない。基本的な技術というものは、得てして汎用性が高いものだ。そして、日本が持つ強みは、そうした基盤技術を持っていることなのだ。 — location: [1122](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=1122) ^ref-46067 --- ディープイシューを見ると、自分たちが保有する技術が意外と貢献できることに気がつく。そうした自分たちが持っているディープテックを、ディープイシューにインストールすることを「テックインストールプロジェクト」と名付けたい。 — location: [1163](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=1163) ^ref-23216 --- 知識経営の生みの親である野中郁次郎先生が、こんなことを言っている。「みんなすぐに計画を立てて、計画通りやろうとするからダメなんだ。偶然を見つけにいく、偶然を楽しむという心が長期的にないのだったらムダだ」と。 — location: [1192](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=1192) ^ref-3042 --- とりわけ、ディープイシューでは、本当に心で感じて解決しようと思わなければ、何も生まれてこない。ディープテックというのは、ディープイシューを解決するテクノロジーの集合体にほかならない。偶然集まった複数のテクノロジーが、その課題を解決する。その中心にあるのは、東洋的な思想であったり、偶発的なものであったり、長期的な視点であったりする。それらに加え、持続可能というキーワードが入っていないと、ディープテックという言い方をしてはならないだろう。 — location: [1197](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=1197) ^ref-17764 --- 必要なのはプランではなくパッション、具体的にはQPMIサイクルだ。QPMIサイクルとは、リバネスが提唱しているイノベーションを生み出すための新しい概念である。質(Quality)の高い問題(Question)に対して、個人(Person)が崇高なまでの情熱(Passion)を傾け、信頼できる仲間たち(Member)と共有できる目的(Mission)に変え、解決する。そして諦めずに試行錯誤を続けていけば、革新(Innovation)や発明(Invention)を起こすことができる。そんな考え方だ。 — location: [1259](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=1259) ^ref-15751 --- ディープイシューは、まさに個人のパッションによって発掘され、それを、信頼できる仲間たちとともにミッションへと変えることで解決へと導かれる。 — location: [1263](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=1263) ^ref-53571 --- 地球のこれから」のためのイノベーションを — location: [1279](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=1279) ^ref-48254 --- ディープイシューに出会う5つの方法」だ。先に項目を挙げておくと、「① 自分たちの常識を捨てる」「② 目の前の売上や利益の概念を捨てる」「③ 長期的視点と短期(一年先)の具体的イメージを持つ」「④ 『初めて』を連続してやる」「⑤ ① から ④ までを持った上で、現場の若いベンチャーと話す」となる。 — location: [1281](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=1281) ^ref-16287 --- これすごいね、将来こうなるね!」とズームアウトしながらも、「それで年内は何をやろうか」と、3カ月~半年後の行動計画にもズームインすることが大切になる。 — location: [1301](kindle://book?action=open&asin=B07XCB444W&location=1301) ^ref-56470 ---