# ストーリーとしての競争戦略 Hitotsubashi Business Review Books
## Metadata
* Author: [楠木 建](https://www.amazon.comundefined)
* ASIN: B00978ZRYA
* Reference: https://www.amazon.com/dp/B00978ZRYA
* [Kindle link](kindle://book?action=open&asin=B00978ZRYA)
## Highlights
ビジネスの成功・失敗は、「やってみなければわからない」としか言いようがありません。しかし、それでも「優れた戦略」を持つことには意味があります。 — location: [33](kindle://book?action=open&asin=B00978ZRYA&location=33) ^ref-34388
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流れと動きを持った「ストーリー」(narrative story)として戦略を捉える視点にこだわって、競争戦略と競争優位の本質をじっくり考えてみようというのがこの本の主題です。 — location: [341](kindle://book?action=open&asin=B00978ZRYA&location=341) ^ref-34014
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論理(logic)とは、「AならばBである」というように二つ以上の思考や現象をつなぐ理由づけ(reasoning)を指しています。ですから、論理はwhatやhowやwhenよりも、一義的にはwhyを問題にしています。 — location: [418](kindle://book?action=open&asin=B00978ZRYA&location=418) ^ref-2194
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第一に、けもの道で身につく嗅覚は決定的に大切なのですが、その一方で、限界もあります。それは、日々けもの道を走っていると、視野が狭くなり、視界が固定するという問題です。走りながら考えている人は、どうしても視界が狭くなります。 — location: [463](kindle://book?action=open&asin=B00978ZRYA&location=463) ^ref-51507
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いったん論理化して汎用的な知識に変換しておけば、(具体化能力のある)実務家は、その論理を異なった文脈に利用できるわけです。 — location: [476](kindle://book?action=open&asin=B00978ZRYA&location=476) ^ref-44586
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第三に、ありがたいことに論理はそう簡単には変わりません。目前の現象は日々変化します。だからこそ「変わらない何か」としての論理が大切になるのです。 — location: [478](kindle://book?action=open&asin=B00978ZRYA&location=478) ^ref-19766
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違いをつくって、つなげる」、一言でいうとこれが戦略の本質です。 — location: [525](kindle://book?action=open&asin=B00978ZRYA&location=525) ^ref-39536
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戦略は因果論理のシンセシスであり、それは「特定の文脈に埋め込まれた特殊解」という本質を持っています。優れた戦略立案の「普遍の法則」がありえないのは、戦略がどこまでいっても特定の文脈に依存したシンセシスだからです。 — location: [540](kindle://book?action=open&asin=B00978ZRYA&location=540) ^ref-19494
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こうした優れた経営者による戦略論は迫力があります。第一に、当人の特殊な文脈の中で練り上げられた知見であるので、戦略の文脈依存性が確保されています。第二に、実際に丸ごと作動したシンセシスであるので、因果論理が骨太です。第三に、最も重要なこととして、その経営者は現実に成功(もしくは失敗)しているので、成果との因果関係が(少なくとも結果においては)強力に確保されています。 — location: [551](kindle://book?action=open&asin=B00978ZRYA&location=551) ^ref-62646
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ストーリーとしての競争戦略は、さまざまな打ち手を互いに結びつけ、顧客へのユニークな価値提供とその結果として生まれる利益に向かって駆動していく論理に注目します。つまり、個別の要素について意思決定しアクションをとるだけでなく、そうした要素の間にどのような因果関係や相互作用があるのかを重視する視点です。 — location: [631](kindle://book?action=open&asin=B00978ZRYA&location=631) ^ref-43103
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個別の違いが因果論理で縦横につながったとき、戦略は「動画」になります。ストーリーとしての競争戦略は、動画のレベルで他社との違いをつくろうという戦略思考です。 — location: [637](kindle://book?action=open&asin=B00978ZRYA&location=637) ^ref-58817
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ストーリーとしての競争戦略とは、「勝負を決定的に左右するのは戦略の流れと動きである」という思考様式です。 — location: [645](kindle://book?action=open&asin=B00978ZRYA&location=645) ^ref-23556
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こうした個別の打ち手に対して、戦略ストーリーが問題にするのはwhyです。右で「線」とか「流れ」といっているのは、なぜある点がもう一つの点につながるのか、ある打ち手がなぜ次の打ち手を可能にするのか、という因果論理に注目しています。戦略を一連の流れを持ったストーリーとして考えなくてはならないゆえんです。 — location: [651](kindle://book?action=open&asin=B00978ZRYA&location=651) ^ref-49663
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私はこの種の法則戦略論の有用性を疑わしく思っています。なぜならば、第一に、そもそも戦略とは他社との違いを問題にしているからです。大量観察を通じて確認された規則性は、あくまでも平均的な傾向を示すものでしかありません。そこで提示された「法則」に従うということは、他社と同じ動きに乗るということであり、戦略にとっては自殺的といえます。第二に、「他の条件が一定であれば」といったとたんに、戦略の本質である「文脈依存性」や「シンセシス」が根こそぎ切り捨てられてしまいます。 — location: [776](kindle://book?action=open&asin=B00978ZRYA&location=776) ^ref-9503
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戦略ストーリーの絵は「こうすると、こうなる。そうなれば、これが可能になる……」という時間展開を含んだ因果論理になります。 — location: [947](kindle://book?action=open&asin=B00978ZRYA&location=947) ^ref-23478
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情報(information)の豊かさは注意(attention)の貧困をもたらす」 — location: [1017](kindle://book?action=open&asin=B00978ZRYA&location=1017) ^ref-29005
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戦略をストーリーとして語り、組織で共有するということは、戦略の実効性を大きく左右します。 — location: [1036](kindle://book?action=open&asin=B00978ZRYA&location=1036) ^ref-39781
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自分の仕事がストーリーの中でどこを担当しており、他の人々の仕事とどのようにかみ合って、成果とどのようにつながっているのか、そうしたストーリー全体についての実感がなければ、戦略の実行にコミットできません。戦略ストーリーをつくる立場にいるリーダーだけでなく、ミドルマネジメント以下の多くの人々も、仕事に向かって突き動かされるような面白いストーリーを強く求めているはずです。 — location: [1039](kindle://book?action=open&asin=B00978ZRYA&location=1039) ^ref-48786
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将来はしょせん不確実だけれども、われわれはこの道筋で進んでいこうという明確な意志、これが戦略ストーリーです。ストーリーを語るということは、「こうしよう」という意志の表明にほかなりません。「こうなるだろう」という将来予測ではないのです。 — location: [1084](kindle://book?action=open&asin=B00978ZRYA&location=1084) ^ref-39869
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戦略にとって大切なのは、「見える化」よりも「話せる化」です。戦略をストーリーとして物語る。ここにリーダーの本質的な役割があります。 — location: [1140](kindle://book?action=open&asin=B00978ZRYA&location=1140) ^ref-10384
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ストーリーがないと、能力重視の経営は、「うまくやれ」「なんとかしろ」という単なる現場依存になりがちです。 — location: [1172](kindle://book?action=open&asin=B00978ZRYA&location=1172) ^ref-14211
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ストーリーという視点が大切になる最後の理由は、いたって単純な話です。何よりも、ストーリーという視点は、戦略をつくる仕事を面白くします。 — location: [1292](kindle://book?action=open&asin=B00978ZRYA&location=1292) ^ref-27421
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