# エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング ## Metadata * Author: [広木 大地](https://www.amazon.comundefined) * ASIN: B079TLW41L * Reference: https://www.amazon.com/dp/B079TLW41L * [Kindle link](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L) ## Highlights 曖昧さ」を減らし、「具体性・明確さ」を増やす行為が「エンジニアリングとは何か」という答えでもあるのです。 — location: [317](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=317) ^ref-15277 --- エンジニアリングで重要なのは「どうしたら効率よく不確実性を減らしていけるのか」という考え方なのです。 — location: [329](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=329) ^ref-53377 --- 人間にとって、本質的に「わからないこと」はたった2つしかありません。それは、「未来」と「他人」です。 — location: [392](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=392) ^ref-34469 --- 不確実なものに向き合うというのは、「不安」を伴います。「わからない」ということは、それだけで自分自身を脅かす可能性を考えてしまうからです。 — location: [407](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=407) ^ref-61978 --- 仕事での問題解決を行うために必要な論理的思考力は、コミュニケーションの失敗によって制限されてしまいます。どんなに自分が正論だと思っていることも、その人自身の世界の中で認識できる範囲の中での正論にすぎず、正解ではないということです。 — location: [456](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=456) ^ref-61397 --- 情報を入手するために、行動を起こして、その結果を観察し、そこから問題解決を行う考え方を「経験主義」といいます。また、限定された情報であっても、その情報から全体像を想定し、それを確かめることで少ない情報から問題解決に向かう思考様式を「仮説思考」といいます。 — location: [464](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=464) ^ref-18865 --- また、正解が常に用意されているわけでもありません。そのため、何が正解なのかを自ら設定することが重要になります。 — location: [470](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=470) ^ref-38571 --- 論理的思考能力というのは、「感情的になる瞬間を知り、その影響を少なくできる」能力でもあるのです。 — location: [542](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=542) ^ref-30819 --- 怒らせる人は、ついうっかり、「その人の大事にしていることを傷つけるようなことをしてしまった」ということに、気がつかないことのほうが多いのです。「大事にしていることが何か」に気がつかないのであれば、また同じことをしてしまうかもしれません。 — location: [697](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=697) ^ref-55428 --- 今現在解くことのできないような難しい問題は、次の一手である「何がわかればわかるのか」を考え、それを「確かめる」ことに変換されます。それは、少なくとも問題を一発で正解することよりも簡単なことです。経験主義は、わからないを行動に変換し、一歩でも正解にたどり着くための思考の補助線なのです。 — location: [777](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=777) ^ref-30035 --- プロフェッショナルであればあるほど、不確実性を最初期に下げていくことを心がけている — location: [816](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=816) ^ref-14369 --- 仮説思考は、経験主義をさらに生産的な(不確実性を削減する)ものにするための「大胆な跳躍」をもたらします。 — location: [912](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=912) ^ref-51576 --- 問題解決のための眼、それは「視野」「視座」「視点」の3つに分類できます。 — location: [1249](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=1249) ^ref-46341 --- 人間はそもそも、完全な全体像を捉えることができないものです。できることは、自分は全体の一部しか把握していないことを受け入れて、そのうえで、視野、視点、視座を広く、鋭く、高く考えるように鍛えていくことが、大事なことです。 — location: [1260](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=1260) ^ref-19370 --- 個人の性質そのものを変えるのは難しいかもしれませんが、個人同士の関係性を変えることはそこまで難しいことではありません。システム思考というのは、個々人の性質よりもむしろ、個々人の関係性に問題の構造を見つける考え方です。 — location: [1270](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=1270) ^ref-6479 --- 人間のコミュニケーションの不確実性が3つの不確実性から来ている — location: [1305](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=1305) ^ref-25049 --- ・他者理解の不確実性:人は他人や事象を完全には理解できない ・伝達の不確実性:コミュニケーションが到達するとは限らない ・成果の不確実性:仮に理解されたとしても予想されたように行動するとは限らない — location: [1305](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=1305) ^ref-43275 --- 真に組織に求められるコミュニケーション能力とは、コミュニケーションの不確実性を減少させる能力のことだといえます。 — location: [1388](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=1388) ^ref-17498 --- 集団に発生する「情報の非対称性」と「限定合理性」を極力低減させていくことができます。 — location: [1390](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=1390) ^ref-2899 --- 負のフィードバックサイクルの結果、生まれてしまった無気力を「学習性無気力(learned helplessness)」といいます。 — location: [1528](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=1528) ^ref-30675 --- このような感覚を「自己効力感(self-efficacy)」といいます。メンタリングは、自立型人材を作るために、信頼関係の上に期待値を調整して、適切に自己効力感をもてるようなフィードバックループを作り出していきます。 — location: [1533](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=1533) ^ref-51836 --- その条件が満たされないと、メンターの言葉が、メンティにとって「自分の行動を変えるもの」にならないということが起きてしまい、メンタリングの効果が生まれません。 — location: [1543](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=1543) ^ref-39073 --- ・謙虚:お互いに弱さを見せられる ・敬意:お互いに敬意をもっている ・信頼:お互いにメンティ(自身)の成長期待をもっている — location: [1545](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=1545) ^ref-7522 --- これらは、Humility(謙虚)、Respect(敬意)、Trust(信頼)の頭文字をとって、 — location: [1547](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=1547) ^ref-50967 --- HRT(ハート)と呼ばれます。 — location: [1547](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=1547) ^ref-47131 --- メンターは、「何か課題を指摘する」ための存在ではありません。課題に一緒に向き合い成長を支援するというコミットが求められます。その意識が仮にあったとしても、それがメンティに伝わらなければ、信頼関係は崩れ、メンター自体が成長を阻害する可能性があるでしょう。 — location: [1578](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=1578) ^ref-22281 --- メンタリングにおいて、メンティに階段を上らせるためには、次のことをする必要があります。 ・階段を認識させる ・壁に梯子をかける ・階段を上りたくさせる — location: [1584](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=1584) ^ref-11587 --- メンタリングでは、見えていない課題に自分から気づかせることを重視します。 — location: [1589](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=1589) ^ref-18234 --- このように人から与えられた説得による知識を「他者説得」、自分自身で気がついたことを「自己説得」といいます。メンタリングでは、他者説得よりも自己説得を重視し、その獲得を促します。 — location: [1614](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=1614) ^ref-21834 --- そもそも、問題解決するのは、メンターではなく、メンティです。すべての — location: [1649](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=1649) ^ref-62001 --- その人の問題は当人しか解決できないので、解決策を言うこと自体が、相手への敬意を欠いた行為ともいえます。 — location: [1650](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=1650) ^ref-7776 --- メンターは、メンティに対して、「問題を解決してあげよう」という意識ではなく、「モヤモヤしていない問題に変換してあげよう」と考えることが重要です。 — location: [1686](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=1686) ^ref-48688 --- 「モヤモヤしていない問題」とは何でしょうか。それは、メンティにとって、「答えはまだわからない」が「明確に次にすべき行動がわかる」ような問題です。 — location: [1688](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=1688) ^ref-57826 --- 「誰が悪いか」という問題解決にとって「どうでもいいこと」にこだわるのは、自分ではない誰かに責任を求めて思考停止することで、自分自身をコンフォートゾーンの中で安心させるための防衛装置が働いているからです。 — location: [1994](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=1994) ^ref-6616 --- 高い生産性につながるような「心理的安全性」と、緊張感のないぬるま湯的な「心理的安全性」 — location: [2043](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=2043) ^ref-27683 --- 自己開示を強化するために、「感情の共有」が不可欠です。 — location: [2218](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=2218) ^ref-34676 --- は、「内心」ではなく「行動」に注目すること — location: [2273](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=2273) ^ref-19615 --- メンティの具体的「行動」から「内心」を類推したはずです。 — location: [2286](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=2286) ^ref-30907 --- このように「わかる」の定義を「具体的行動を行うことができる」に変換してしまえば、その行動を通じて、「わかった」状態を確認できますし、「わからない」ポイントもより明確になるでしょう。 — location: [2331](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=2331) ^ref-7199 --- ゴールによって、「認知フレーム」が変わったためです。高いゴールは、それだけ多くの「認知フレーム」の変化をもたらします。そして、それに伴って行動も変化していきます。 — location: [2419](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=2419) ^ref-22306 --- このように将来の自分が、今現在の自分をメンタリングしている状態を「セルフマスタリー(自己熟達)」を得たと表現します。 — location: [2431](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=2431) ^ref-1959 --- エンジニアリング全体を「不確実性のシステム」の中で捉え、「不確実性削減のシステム」を追加することがエンジニアリング組織の役割だといえます。 — location: [2661](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=2661) ^ref-60099 --- 「何を作るか考える人」は、目的不確実性の削減に対してアプローチをしたいと考えていて、「どのように作るか考える人」は方法不確実性の削減に対してアプローチしたいと考えています。 — location: [2665](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=2665) ^ref-11006 --- 暗黙知」と「形式知」 — location: [2792](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=2792) ^ref-44814 --- 共同化・表出化・連結化・内面化という各フェーズを繰り返していくことで、知識というものが発展的に組織内に蓄積されます。 — location: [2805](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=2805) ^ref-12048 --- 不確実性とは、「わからないこと」です。私たちがわからないことには、未来と他人があります。未来の不確実性は、ソフトウェアをどのように作るかという方法不確実性と何のためにソフトウェアを作るのかという目的不確実性に分かれます。また、他人の不確実性は通信不確実性といい、コミュニケーションが不確実であるために情報の非対称性や限定合理性が生まれてしまいます。 そして、不確実性は、「不安」を生み出します。わからないものは自分を脅かすかもしれないと本能で感じてしまうからです。不安は、コミュニケーション不確実性に変わり、それは未来の不確実性を増大させます。 — location: [3273](kindle://book?action=open&asin=B079TLW41L&location=3273) ^ref-5234 ---